Q

台風により賃貸アパートの1階が浸水し、1週間使用不可能になってしまった。エアコンも故障して、1カ月間使えなかった。借主の家賃負担はどうなる?

A

1週間、建物全部が使えなかったのであれば、1週間分の家賃が減額される。エアコンが使えなかった1カ月分の家賃についてはケース・バイ・ケースとなる。

 

民法改正で、借りている建物が自然災害や事故によって倒壊して滅失する場合だけでなく、建物が使用・収益できなくなった場合でも、借主に責任がない場合は賃料が減額されることになった。さらに「減額を請求できる」のではなく、借主が請求しなくても「当然に賃料が減額される」こととされた。「使用・収益することが出来なくなった場合」とは、故障や安全性の欠如による場合も含まれるので、上下水道やエアコンが使えなくなった場合も該当する。

このケースでは、借りている建物が浸水で1週間使えず、エアコンも1カ月使用できなかったのだから、家賃は減額されることになるが、どれだけ減額されるのかを算定するのは難しい。1週間にわたり建物全部が使用できなくなったのであれば、原則として7日÷30日(または31日)分が減額される。エアコンの場合は、季節によっては建物の使用に差し支えないこともあるし、程度問題ともいえるので、1カ月利用出来なかっつたことで家賃がいくら減額されるのかを算定するのは困難である。

トラブルを防ぐには、賃貸借契約に賃貸物件が一部滅失した場合についての特約を設けておくことも考えられるだろう。

 

 

参考資料:

日本賃貸住宅管理協会では、すでに2004年に家賃減額と免責日数に関する目安を策定しています。どの程度の減額がなされるかは、以下の通りです。

 

賃料減額と面積日数の目安一覧

 

状況            賃料の減額割合(月額)    免責日数

トイレが使えない              30%           1日

風呂が使えない               10%           3日

水が出ない               30%           2日

エアコンが作動しない       5,000円     3日

電気が使えない        30%           2日

テレビ等通信設備が使えない           10%       3日

ガスが使えない             10%           3日

雨漏りによる利用制限       5~50%  7日

上記の賃料の減額割合や免責日数は、新法施行に合わせて改定される予定となっています。